一般婦人科外来
GYNECOLOGY
一般婦人科外来
GYNECOLOGY
月経困難症とは、月経(生理)期間中に月経に伴って現れる病的な症状です。生理痛はいつものことだから仕方ない、ということで放っておいてはいけません。
その症状によって、日常生活に支障が出てしまう状態をいいます。
代表的な症状は下腹痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、いらいら、下痢および憂うつの順に多くみられ、日常生活に支障が出てしまう状態です。
月経困難症の原因は大きく2つに分けることができます。
子宮筋腫とは、子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍です。
子宮筋腫の発生や発育の仕組みは十分に解明されているわけではありませんが、女性ホルモンが関係していることは間違いありません。
20代~40代の性成熟期に発症することが多く、閉経後は卵巣からの女性ホルモンの分泌低下にともなって縮小することが多いです。
子宮筋腫は、発生した場所によって名称が異なり、子宮のおもて面にできた場合は「漿膜下筋腫」、子宮の筋肉部にできたものを「筋層内筋腫」、子宮の内膜付近にできたものを「粘膜下筋腫」と言います。
出来ている場所によって症状も変わります。
子宮筋腫の頻度は30歳以上の女性では20~30%とされており、決して珍しい病気ではありません。
子宮筋腫があるからと言って、必ずしも治療が必要なわけではありません。閉経後はエストロゲン分泌量が減少し、筋腫が小さくなるため、症状が消えることもあります。そのため、症状がない場合や症状が軽い場合には子宮筋腫の状態を定期的に検査しながら経過観察をします。
症状が重い方など、対症療法では難しいと判断した場合は、手術を含めた治療法をご提案させていただきます。
当院では手術は行なっておりませんが、ご要望または必要と判断した場合は提携先の病院をご紹介させていただきます。
子宮内膜症は痛みと不妊を主な徴候とする女性ホルモン依存性の慢性炎症性疾患です。
子宮内膜組織は子宮の内側にありますが、子宮内膜症は本来あるべき子宮の内側以外の場所に、子宮内膜あるいは子宮内膜に類似した組織ができる病気です。
月経がある若い年代に発症する病気で、主に20~40歳代に多いと言われていますが、最近では発症年齢の若年化が注目され、10代で発症するケースも見受けられます。
子宮内膜症の発生が多い場所として、卵巣の内側・おもて面、子宮の筋肉、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)、子宮を後ろから支える靭帯(仙骨子宮靭帯)、子宮と膀胱の間のくぼみ(膀胱子宮窩)、肺、皮膚などがあげられます。
症状や内膜症の進行の程度により、薬物療法や手術療法を検討します。
薬物治療によっても症状、病巣の改善が見られない場合には手術加療を検討します。妊娠のご希望の有無などによって手術術式も変わります。当院では手術加療は行っておりませんので、手術をご希望される場合は「提携医療機関」をご紹介させていただきます。
月経だから少しくらい経血量が多くても仕方ない、と思われている方もいらっしゃるのではないのでしょうか?月経血量は1回あたり20~140mlが正常とされていますが、本邦では「過多月経は、経血量140ml以上」と定義されております。
しかし、実際に出血量を計測することは困難なため、経血量で診断されることはほとんどありません。実際には経血量が多いという症状と貧血の有無を指標として判断されるのが一般的です。
経血量が多く、月経血の中にレバー状の血の塊が見受けられ、常時夜用ナプキンが必要となり、交換頻度も高くなる傾向があります。また以前に比べて、経血量が増え、日数も長くなった方も過多月経の可能性があります。
その状態が続いてしまうと、鉄欠乏症貧血になるケースが多く、それに伴い、立ちくらみ、動機・息切れ・めまい、つかれやすいなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
「過多月経」の主な原因には、1:婦人科器質性疾患、2:婦人科機能性疾患、3:内科的疾患があります。
薬物療法が無効もしくは困難な場合には手術療法を検討します。
手術療法の術式は、原因疾患、挙児希望の有無によって決まります。
これらの手術療法が必要な場合は、「提携医療機関」のご案内をさせていただきます。
正常の月経は、周期日数が25~38日(変動が6日以内)かつ、出血持続日数が3~7日とされています。正常な月経周期から外れるものを、一般的に月経不順と呼んでいます。月経不順は、周期日数や出血持続日数によって以下のように分類されます。
また、無月経とは、周期的な月経が発来すべき年齢層の女性において月経がない状態(妊娠していないにもかかわらず3ヶ月以上月経がない状態)のことを言います。無月経の場合、放置するとホルモン異常の他、心臓や血管に関する病気や骨粗しょう症に繋がる可能性があるため、早めの受診をお願いしております。
また、無月経の中でも、生理的無月経(妊娠、産後、授乳中における無月経など)を除いたものは以下の二つに分けられます。
原発性無月経 | 18歳になっても初経が起こらないもの |
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続発性無月経 | これまであった月経が3ヶ月以上停止したもの |
一般的に月経不順と言えば、月経の周期が長くなってばらつく「希発月経」を思い浮かべるのではないでしょうか。
月経不順の原因は、卵巣の障害や高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺疾患などさまざまですが、疲労やストレス、激しい運動、過度なダイエットなどによるホルモンバランスの乱れが原因と考えられております。
また、更年期が近づくにつれ、月経不順が起こりやすくなります。
月経不順の原因は多岐にわたるため、原因に応じた治療を行います。月経不順の原因となっている疾患があれば、その疾患の治療を行います。
妊娠のご希望の有無により、必要に応じて排卵誘発剤を使用して排卵を促したりします。
当院では、患者様の生理不順のタイプやライフスタイル、要望に合わせた治療を一緒に検討し、治療を進めて行ければと考えております。
不正性器出血とは、月経(生理)の時以外に出血が時々、あるいはよくある場合のことを指します。鮮血や茶色っぽい血が出る場合や、おりものに血が混ざったような場合も、不正性器出血に該当します。
不正性器出血の原因には、外陰部から子宮・卵管・卵巣にかけての病変が隠れている可能性、ホルモンバランスの異常などがあります。大きく分けて1:機能性出血と2:器質性出血の2つがありますので、下記にてご説明いたします。不正性器出血がありましたら、ご相談ください。
不正性器出血には、気づかないうちに重大な病気が隠れていることもありますので、産婦人科を早めに受診していただき、検査を受けてください。
炎症によるもの | 細菌やウイルスなどの感染、萎縮性腟炎、子宮内膜炎など。 |
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ホルモン異常によるもの | 卵巣機能不全、月経異常など。 |
良性の腫瘍 | 子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫など。 |
悪性の腫瘍 | 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣腫瘍、子宮肉腫、腟がんなど。 |
妊娠に関連するもの | 流産、異所性妊娠など。 |
子宮腟部びらん | 若い女性では一般的にみられる状態で、病気ではないケースもありますが、子宮頸がんの初期症状として起こっている可能性もあります。 |
不正性器出血には様々なパターンがあり、中には経過を見ることで自然に出血が止まる場合もありますが、出血期間が長い場合や出血量が多い場合はホルモン薬で出血を止めます。
その後も経過観察を行い、必要があれば継続的に治療を行っていきます。
炎症の場合は、抗生物質などを用いて対応します。
また、子宮頸管ポリープなどによる場合は簡単な処置で摘出することが可能です。
手術が必要なものや悪性腫瘍が疑われる場合には「提携医療機関」をご案内させていただきます。
不正性器出血は重大な病気のサインかもしれません。不正性器出血がある場合は産婦人科の受診をおすすめします。
月経前症候群(PMS)は、月経(生理)の前になると決まって不快な症状が現れ、身体的・精神的に日常生活にまで支障をきたすことをいいます。個人差がありますが、月経開始の3~10日前くらいから症状が出現します。またその症状は、月経が始まると徐々に軽くなり消失するのが特徴です。
中でも、精神的な症状が特に悪化して日常生活に支障をきたすような状態を月経前不快気分障害(PMDD)といいます。
身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。
自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感などがあります。
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害などがあります。とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)の場合もあります。
PMS/PMDDは月経周期と関連することから、女性ホルモンが関係していることが指摘されていますが、はっきりとした原因は解明されていません。エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量の急激な変動が原因と一つとは言われております。
このようなホルモンや神経伝達物質などの体内環境に加え、ストレスなどのさまざまな外部からの要因が合わさり、PMS/PMDDが引き起こされるといわれています。
PMS/PMDDの症状は一人ひとり異なるため、患者様のご希望を伺いながら治療を進めていきます。
月経前のライフスタイルを改善しつつ、また、必要に応じて、低用量ピルなどのホルモン療法、漢方薬や抗うつ薬などの薬物療法を行いながら、症状・経過に合わせて、治療法をご提案させていただきます。
卵巣のう腫とは、卵巣に発生する、水や油、脂肪、液体などが溜まった袋状の病変で、比較的若い方に多い良性腫瘍です。徐々に腫瘍が大きくなることもありますが、9割以上が卵巣にできる腫瘍のうち良性です。
問診、超音波検査、もし悪性の可能性がある場合、MRIやCT、腫瘍マーカーなどで詳しく検査をしていきます。卵巣は腹腔内の臓器であり、卵巣のう腫では自覚症状は出にくいですが、ある程度の大きさのものや、腹部の張りや圧迫感などの症状がある場合は、摘出手術などが必要になる可能性があります。
腫瘍の種類や大きさによっては以下のような症状が出現する場合があります。
さらに、腫瘍の種類や状態によっては「茎捻転」を起こし、急激な腹痛を発症することもあり、その際は緊急手術が必要になることがあります。
卵巣のう腫は症状が出ないことも多く、健康診断や妊婦健診、他科(内科など)の受診をきっかけに、偶然見つかることがあります。場合によっては悪性の卵巣がんのこともあり、定期的な超音波検査を受けることをおすすめします。
漿液性卵巣のう腫 | 10代~30代の比較的若い女性によく見られ、卵巣腫瘍の中では発症頻度が高い腫瘍とされています。 卵巣から分泌されたサラサラした内容液がのう腫内に含まれており、のう腫の袋が1つであることが多いとされています。 |
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粘液性卵巣のう腫 | 卵巣のう腫の中で、閉経後の女性に見られやすい腫瘍です。 比較的粘液性の高いドロドロした内容液がのう腫内に含まれ、のう腫の袋が、複数の房状に分かれていることが多いとされています。放置するとどんどん大きくなっていきます。 |
成熟嚢胞性奇形腫 (皮様のう腫) |
20~30代の比較的若い女性に多く、年齢や腫瘍の大きさによってはまれにがん化(悪性転化)することがあります。 のう腫内に脂肪組織や歯、軟骨、毛髪をふくんだドロドロの塊が溜まり、腫瘍を形成します。良性であることが多いですが、ある程度の大きさ以上になる場合は手術療法を検討します。 |
卵巣子宮内膜症性のう胞 (チョコレートのう胞) |
卵巣のう腫の治療は、腫瘍の種類、大きさ、年齢、妊娠・出産のご希望の有無などにより、一人ひとり異なります。治療方法や薬物療法と手術療法となりますが、基本的には、2~3cm程度の小さなのう腫で、良性と考えられる場合は、定期検査で経過観察します。 大きさが5~6cm以上になったり、悪性が疑われる場合は、精密検査や手術を検討します。 |
卵巣のう腫の治療は、腫瘍の種類、大きさ、年齢、妊娠・出産のご希望の有無などにより、一人ひとり異なります。治療方法や薬物療法と手術療法となりますが、基本的には、2~3cm程度の小さなのう腫で、良性と考えられる場合は、定期検査で経過観察します。
大きさが5~6cm以上になったり、悪性が疑われる場合は、精密検査や手術を検討します。
子宮の中から内膜までの2.5cm~3cmの細い管になっている部分を子宮頸管と言います。
子宮頸管ポリープは、この子宮頸管の粘膜が何らかの理由で増殖してできる良性腫瘍です。
ポリープは1つだけではなく、複数個できることもあります。検診の際にポリープが子宮口から膣にはみ出していることで発見されるケースがあります。
出産歴、性成熟期以降の女性に多く発生し、切除しても再発することが珍しくありません。
エストロゲンの感受性が高いところに発生する良性の腫瘍です。無症状のことが多いですが、不正性器出血や過多月経などの原因になることがあり、不正出血の中で気づかれる方が多いポリープです。
子宮内膜ポリープは大部分が良性ですが、中には悪性所見(がん)を認める場合もあります。
無症状のことも多いですが、不正性器出血や帯下(おりもの)の増加の原因となることがあります。
ほとんどの場合が無症状ですが、不正性器出血や過多月経の原因となることがあります。
また、子宮内膜ポリープが着床の妨げとなり、不妊の原因となることもあります。
出血などの症状を伴う子宮頸管ポリープは基本的には切除します。
症状がない場合は経過観察でよいとされていますが、ポリープ自体は自然消滅することはほとんどありません。
治療が必要な際はポリープ切除を行います。
子宮内膜を掻爬してポリープを摘出する方法(子宮内膜掻爬術)と、子宮鏡下に切除する方法があります。ご希望により治療法をご提案します。
女性のからだを守ってくれる大切なものです。おりものは帯下ともいい、腟や子宮から出る酸性の分泌物です。汚れの排出や膣内部のうるおいを保ってくれ、排卵時にはゼリー状に変わり精子を受け入れやすい状態にしてくれます。
排卵時期には卵胞ホルモンの分泌が増えますので、量が増えます。また、ストレスやプレッシャーを感じたときなどに分泌量が増えることもありますが、これらは正常なおりものなので心配ありません。正常なおりものの色は個人差がありますので、正常な状態を知っておくことが大切です。
上記のようなおりものは、正常なおりものなので心配はありません。
おりものに関して、上記のような症状を含め、色やにおいに異常を感じたら早めに婦人科を受診してください。おりものは健康のバロメーターでもあります。
特に血液が混じったピンク色や茶色のおりものの場合、トリコモナス膣炎、淋菌感染症、細菌性膣炎、萎縮性膣炎、膣カンジタなどの病気が隠れている場合があります。いつもと色や量が違う、においが気になる、かゆみがある場合には、早めにご相談ください。
ミレーナ®は、レボノルゲストレルという女性ホルモン(黄体ホルモン)を子宮の中で持続的に放出する子宮内避妊システムです。ミレーナ®の本体はやわらかいプラスチックでできており、形はT字で3cmぐらいの大きさです。日常生活に制限ができることはなく、性交渉に影響することはありません。
ミレーナ®は正しく使用した場合の1年間の避妊率が約99.8%と高い避妊効果と、1度挿入すると最長5年間効果が持続することが最大の特徴です。
避妊目的で挿入する場合は自費診療となりますが、過多月経や月経困難症などの症状で挿入する場合は保険適応となります。
ミレーナ®に適さない方もいらっしゃいますので、医師と相談の上装着をしていくか決めましょう。
ミレーナ®装着後は、出血・腰痛・下腹痛といった症状がみられる場合があります。
これらの症状は徐々に良くなることが多いですが、症状が長引いたり、痛みがひどくなっている場合などは我慢をせずにご相談ください。症状・副作用には個人差があります。
また、ミレーナ®装着中は以下のような症状が出る場合があります。出血が長く続く場合や発熱、下腹痛などがある場合は早めにご相談ください。
主な副作用 | 月経出血日数の延長/月経時期以外の出血(不正性器出血)/月経周期の変化/腹痛/卵巣のう腫 |
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重大な副作用 | 骨盤内炎症性疾患(感染症)/子宮外妊娠/穿孔/卵巣のう胞破裂 など |
月経が始まった日より4~7日目の挿入いたします。また、挿入後は、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後にミレーナ®の位置の確認をします。その後は状況に応じて1年ごとに検診を行います。
装着時には痛みを伴いますので、ご了承ください。
保険適応 | 適用疾患のある方は保険対応とします。 |
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自費診療 | 60,000円(税込) |
旅行や受験、結婚式、スポーツなど大きな行事にどうしても生理を避けたいという時があるかと思います。その際、ホルモン剤を内服することで月経の時期をずらしてあげることを月経移動と言います。
月経開始後3~5日目ごろから7~14日間程度ホルモン剤を服用します。
服用終了後、数日で月経が始まるため、月経を避けたい時期の前に月経を移動する形となります。
低用量ピルを使用することもでき、中用量のピルに比べて、吐き気や頭痛などの副作用が少なくなります。また、事前に月経を起こしておくため、大切な行事の時にホルモン剤を服用する必要ないことも大きなメリットかと言えます。
次の月経開始予定日のおおよそ5日前からホルモン剤を服用し始め、遅らせたい日程の最終日まで飲み続ける方法です。正しく服用することで、ほぼ確実に月経を移動させることが可能ですが、月経をずらしたい時期にホルモン剤を内服し続けなければなりません。
初めてホルモン剤を服用する方は副作用(吐き気やだるさなど)が出た場合、大事な行事の時に身体に負担が生じる場合があります。
次回月経予定日や来院される時期によって上記の方法が変わりますので、詳細はご相談ください。ホルモン剤の効果・副作用などは個人差がありますので、患者様お一人に応じた処方をいたします。
月経日の移動に関しては健康保険の適応外となりますので、自費診療となります。
女性は30代後半から女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が徐々に減少し、そして50歳前後で多くの方が閉経を迎えます(日本人女性の平均閉経年齢は49.5歳とされています)。この閉経の前後5年の10年間(45~55歳頃)を更年期と呼びます。
更年期には女性ホルモンの分泌量が変化し、個人差はありますが、体や心にさまざまな変化が起こりやすくなります。
更年期に出現する上記のような症状を「更年期症状」といい、更年期症状があることで日常生活に支障が出る状態を「更年期障害」といいます。
婦人科では、できる限り症状でお困りの女性の皆様のケアや治療を行なっていきます。
更年期は内分泌的要因、社会環境的要因、心理的要因が関連しあって生じると考えられています。
更年期には卵巣機能が衰え、卵胞ホルモン分泌量の低下が脳の中の自律神経中枢の働きを失調させることが大きな原因です。それに加えて、外部からのストレスや身の回りの環境の変化、本人のもともとの性格といった要因も大きく影響します。
更年期障害を発症しやすい40~50代は、こどもの成長や親の介護など、私生活でも身の回りの環境の変化が起こりやすい時期です。また、30代からも卵巣の働きが衰え始めるため、食事のバランスをはじめ気をつけてあげるのが理想的です。
更年期障害には診断基準が存在しません。
更年期という女性のライフステージにおいて生じる様々な症状や障害として矛盾しないかどうかが重要なポイントになります。
大切なことは、甲状腺疾患や不整脈、耳鼻科疾患、うつ病などといった他の心身の病気が、更年期症状の原因となっている可能性もあるということです。
更年期症状がある方は、症状によっては他に大きな病気が隠れていないか詳しく検査をすることをおすすめします。
HRT(ホルモン補充療法)とは内服薬や貼付剤、ゲル剤によって更年期に減少する女性ホルモン(エストロゲン)を補充する治療法です。のぼせ・ほてりといったホットフラッシュ、発汗、萎縮性腟炎、外陰部のかゆみ、性交障害などの症状が改善されます。 投与方法は大きく分けて3パターンあります。閉経後どのくらい経つか、子宮の有無などにより投与方法が変わります。
となります。
内服薬の他に、皮膚に貼って投与するパッチ、皮膚に塗って投与するゲル剤などを使用しています。
HRTは更年期障害にとても有効な治療法ですが、副作用が生じることもあります。
HRTは使用する薬剤により、副作用は違いますが、使用開始後1~2ヶ月で治まるものがほとんどです。主な副作用は、不正出血、乳房の張りや痛み、おりもの、下腹部の張りです。副作用は、薬の量や種類を変更することで改善できることもありますのでご相談ください。
適切なタイミングに十分な検査と管理を行いながら、一人ひとりにあった治療計画をご提案いたします。
更年期障害は様々な症状を引き起こす症候群ですので、更年期症状が軽い方やホルモン剤などが使えない方に、漢方薬を使用するケースがあります。軽いホットフラッシュや発汗などの症状、むしろ冷えや倦怠感などの身体症状や、不安、うつ気分などがある場合には漢方薬が有効なことがあります。
代表的な漢方薬
以下の3つの薬は“婦人科三大処方”と呼ばれています。
女性ホルモン(エストロゲン)は感情や精神の安定に関わるセロトニンという神経伝達物質の変化にも関連し、精神症状の発現にも関わっているとされています。したがって、神経伝達物質の働きに直接関わる向精神薬も、更年期障害に一定の効果があるといわれています。
気分の落ち込み、不安、焦燥感。抑うつ症状などの精神症状がある場合や、これらの症状にホットフラッシュを伴う場合には抗うつ薬などを使用する場合もあります。服用には必ず医師の判断が必要です。
ただし、不安や抑うつ症状が強い方は、心療内科など専門家への受診をおすすめします。
プラセンタ注射は、更年期障害と肝炎の治療薬として厚生労働省から保険適用が認可されているエキス製剤です。
プラセンタとは、「胎盤(たいばん)」のことです。胎盤は赤ちゃんのへその緒とつながっていて、栄養や酸素を赤ちゃんに届け、赤ちゃんを育てる役割を持っており、胎盤にはタンパク質やアミノ酸、核酸、ビタミンなどの豊富な成長因子がたいへん豊富に詰まっています。
また、更年期症状の他、疲労の回復や自己免疫疾患・アレルギー疾患の改善、美肌・アンチエイジングなどの美容効果が認められているため、広く活用されています。
保険適用の場合 | 更年期障害の治療として使用する場合、現行で年齢45歳~59歳の女性の方については保険適用になりますので、費用は保険の範囲内で行います。 更年期障害の治療で使用される方は週2回(1アンプル/回)となります。 |
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自費診療の場合 | 1アンプル:只今、準備中です 2アンプル:只今、準備中です ※接種回数、アンプルの量は、医師に相談ください。 |
※1:保険適用となる病名は限られていますので、厚生労働省が認可した病名の方以外は健康保険でプラセンタ療法を受けることができません。
※2:それ以外の方、または美容等を目的(美容、健康の維持など)にご希望される方は自費診療となります。
睡眠不足や運動不足の解消、食生活の改善は更年期障害の改善に役立ちます。生活習慣の乱れは更年期障害を悪化させる原因の一つです。不眠の状態が続くと疲労がたまり、精神的に落ち込みやすくなります。
夜遅くまで起きている習慣がある人は早寝早起きに切り替え、眠りの質をあげること、適度な運動は、身体の活力や筋力の維持、体脂肪量の減少に有効と言われております。
食生活にも注意が必要です。更年期には脂質や骨の代謝も大きく変化しますので、骨粗しょう症や動脈硬化、生活習慣病の予防のためにもバランスの良い食事を心がけることをおすすめします。
更年期は加齢や女性ホルモンの低下によって生活習慣病の発症も増加する時期です。この時期に自分自身の健康や生活習慣に目を向け、更年期障害への対処だけではなく、生活習慣病の予防のためにもの改善を行うことは大切です。
脂質異常症とは、血液中の中性脂肪が多くなったり、悪玉コレステロールであるLDLが上昇したり善玉コレステロールであるHDLが少ない疾患です。自覚症状がないのが特徴です。
しかし、放置しておくと動脈硬化が進んで、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因となります。性成熟期の女性は、女性ホルモン(エストロゲン)の働きによってコレステロールや中性脂肪値の上昇が抑制されます。しかし、更年期になるとエストロゲンの分泌が低下して、血中のコレステロールや中性脂肪値が上昇してきます。そのため女性の場合、更年期にはコレステロール値が高くなりやすく、急性心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患が増加しやすい傾向にあります。
骨粗しょう症とは加齢とともに骨量が減少し、骨が脆くなり、進行すると骨折の危険性が増える疾患です。閉経を迎える50歳前後から骨量は急激に減少し始めますので、検査を受けるようにしましょう。
女性は男性よりも平均寿命が長く、第2の人生をより健康体で過ごすためにも、骨粗しょう症を予防し、生活の質(QOL)を維持していくことが大切です。
当院では骨粗しょう症の血液検査、治療を行っており、連携施設での骨量測定も行い、骨粗しょう症の予防、治療を積極的に行っております。
また、健康診断等で骨量減少が指摘された場合などは治療についてもお気軽にご相談ください。